差押えの通知や予告は恐喝脅迫で違法?無視はOK?取り立て・督促に疑問を持った方へ

投稿日:2017年12月9日 更新日:

[PR]

★この記事を読んでわかること
  • 返済滞納や未払いで届く督促状や差押予告通知書は脅迫や恐喝にならない?
  • 債権者には、返済を強く求める正当な権利があるため、不当とはいえない部分も。
  • 差押や訴訟予告に納得できないからと無視しするのは危険。
  • 自身の受けている督促に納得できない、「怖い」「やりすぎ」と感じた場合は、債務整理に強い弁護士・司法書士に助けを求める方法も。

 

支払や返済を滞納すると、「督促状」や「催告書」といったハガキや封書が送られてくることは、ご存知の方も多いと思います。
督促状と一口に言っても、その内容は様々です。「お支払いが確認できておりません」といった柔らかい表現のものもあれば、次のような通知書が送られてくる場合もあります。

出典:Yahoo!知恵袋

文面の中から、ポイントになる部分を書き出してみます。

1:貴殿が給与所得者であれば、勤務先からの給与債権を差押え
2:貴殿が個人事業主で、売掛金などの債権を取引先に有すれば、その債権を差押え
3:貴殿のご自宅が賃貸物件であれば、敷金返還請求権を差押え
4:貴殿がご自宅を所有されていれば、その所有権を差し押さえた上で競売を申し立て
5:更には、ご自宅内にある家具など、調査しうる範囲の貴殿の資産に対して執行手続きを申し立て

これは、実際にあった「訴訟予告書」の事例です。少額の料金を滞納してしまった方に対して、回収取り立ての委託を受けた法律事務所から送付されたものです。

「貴殿が給与所得者であれば、勤務先からの給与債権を差押え」
「貴殿が個人事業主で、売掛金などの債権を取引先に有すれば、その債権を差押え」

…と、差し押さえ強制執行の対象となりえるものが列挙されています。

いかがでしょうか?

「こんなものまで差し押さえられるの?」
「これほど恐ろしい文書を送ってくるなんて、脅迫ではないのか?」
「いきなり差押予告書が届いたけど、無視しても良いのか?」

…と、疑問や不安を感じられた方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、

差し押さえを予告する、脅しのように見える督促・取り立ては脅迫にあたらないのか

不当だと感じる督促・取り立てを受けた場合の対策方法や相談窓口

といった点について、解説をお届けしていきます。

 

貴殿の給与、売掛金、敷金返還請求権を差押えます…予告通知は脅迫罪で違法にならない?

それでは、少しテクニカルな説明となりますが、“差し押さえを強い口調で予告する取り立ては、脅迫罪などにあたらないのか”を見ていきましょう。
これについて、KAI法律事務所の奈良恒則弁護士の監修による「債権回収の法律と実務」(三修社)に解説があります。わかりやすいので、一部引用しつつご紹介します。

同書は、「限度はわきまえなければならない」としつつ、また「債務者の対応次第」としつつも、“かなり強圧的な言動”が必要になる場合があることも認めています。“心理的な圧力をかけ、債務者に支払意思を起こさせること”も、債権回収のテクニックとして必要だからです。

ただし、債権回収の場合には、一般の恐喝の場合とは異なった問題があります。それは、債権者にはそれを行使するだけの権利があるということと、債務者が失った財産はもともと債権者が支払うべきものだったのではないか、ということです。

-債権回収の法律と実務 奈良恒則 三修社 P49

そのため、督促状や催告状、またこの記事の冒頭でご紹介した「訴訟予告書」といったものが、必ずしも恐喝罪や脅迫罪になるとは、“一口には言い切れない”部分があります。

ただし債権回収のプロは、こうした法律上の問題にも非常にシビアに対応しています。ですので、督促状や催告書などの取り立てを受けて、「これは恐喝・脅迫にあたるから不当請求だ!だから払わない!」といった主張は、よほどの限りでなければ難しいでしょう。

とはいえ、必ずしもすべての督促・取り立てが、完全に合法であるとは言い切れません。脅迫罪(刑法第222条)や恐喝罪(刑法第249条)、または改正貸金業法第21条で禁止された督促行為に抵触しているケースが、“絶対にない”とは保証できません。

ですので、「自分の受けている督促は、違法行為ではないのか」と、理不尽さや疑問、不安や不信感を少しでも感じたら、すぐに“債務整理に強い弁護士・司法書士”に相談してみましょう。

債務整理に強い弁護士・司法書士に無料相談

 

“この督促状は怖い”と感じたら、債務整理に強い弁護士や司法書士へ相談を!

督促の内容に心当たりがあり、架空請求ではない…とわかっている場合でも、“督促行為そのものが、法に抵触している”ケースも、まったくゼロとは言い切れません。
ですので、少しでも「この督促状は怖い」「さすがにやり過ぎではないのか」等、疑問を感じたら、債務整理に強い弁護士・司法書士に相談してみましょう。

その理由やメリットについて、いくつか簡単に解説していきます。

相手の督促が正当なものか、違法なものかを、しっかり判断してもらえる

「怖すぎる」「脅しのように感じる」といった督促を受けた時、やはり気になるのが、“これは違法行為ではないのか、それとも正当なものなのか”という点でしょう。そうした疑問について、債権・債務に詳しい法律の専門家として、しっかりした見解を示してもらえます。

債務整理に強い弁護士・司法書士は、“あなたの味方”になってくれる

当たり前のことといえば当たり前ですが、しかしたいへん重要なポイントです。債務整理に強い弁護士や司法書士は、督促状を受けているあなたにとって、“心強い味方”になってくれる存在です。あなたにとってより良い解決方法や対応方法を考え、専門的な見地から、力を貸してもらえるでしょう。

債務整理を依頼すれば、最短即日で取り立てをストップできる

「もうこんな取り立ては受けたくない」「督促状を送らないでほしい」、さらに「返したくても事情があって返せない・払えない」といった場合、債務整理を実際に行うことで、解決が期待できます。
一番わかりやすいメリットとしては、“最短即日での取り立てストップ”があります。債権者にし受任通知が送られると、本人への直接の取り立ては禁止されるため、最短でその日のうちに取り立てが止まります。

 

債務整理は、“払えない・返せない”を解決するための手続き

債務整理は、“返せない借金などを減額・免除・再分割して、債務を解消するための手続き”です。その副次的な効果として、最短即日での取り立てストップがありますが、“取り立てを止めるためだけに、債務整理を行う”という事は、原則として考えにくいでしょう。

ただ逆に言えば、債務整理を行えば、“返せない・払えない”といった悩みを、トータルで全面解決できる可能性があります。ですので、この機会に債務整理を検討し、“督促や取り立てに悩まされない生活”を目指してみてはいかがでしょうか。

 

“正当な督促”を受けている場合でも、債務整理は可能です

債務整理は、“どんな取り立てを受けているかに関わらず”、返済滞納や未払いなどの解決が期待できる手続きです。

自分はそれほど怖い督促を受けていない。」「こんな差し押さえ予告通知書には納得できないから無視したい。」という方も、このまま放置をすれば、いずれ法的な手段を執られてしまうことに違いはありません。

ですので、「返せない、払えない」といった場合、なるべく早めに、債務整理の得意な弁護士や司法書士への無料相談だけでも行っておきましょう。

 

債務整理の方法は一つではありません

なお、債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」などがあります。また、「過払い金返還請求」や「債務の消滅時効の援用」といった手続きも、場合により用いられることがあります。

特に使われることの多いものとして、「任意整理」「個人再生」「自己破産」について、簡単に特徴をまとめてみましょう。

任意整理

今後の利息や遅延損害金をカットします。また、返済を分割払いとして、月々無理のない金額で返せるよう、返済計画を立て直し(リスケ)します。
整理する債務を選べるため、住宅ローンや自動車ローンの返済中でも、家や車を手放さずに、他の返済滞納を整理することも可能です。

個人再生

すべての借金をまとめて5分の1~最大10分の1程度に減額し、残りを3~5年程度の分割払いとする方法です。かなり大きい金額まで整理できる手続きで、総負債額が5000万円ほどあっても、自己破産ではなく、こちらの個人再生で解決できる可能性があります。
また、住宅ローン特則を使えばローン中の住宅を手放さずに債務整理することも可能です。

自己破産

原則としてすべての債務が免責されるという点では借金の減免効果は絶大です。「免責不許可事由」により、ギャンブルや浪費などが理由の債務は免除されない…と言われていますが、現実には、「裁量免責」によって免除されることもあります。

このように、返済トラブルや滞納を解決する方法は一つではありません。
債務整理の得意な弁護士・司法書士に相談すれば、自分に合った解決方法を見つけてもらえるでしょう。

債務整理に強い弁護士・司法書士に無料相談

 

補足説明:督促や取り立てと、脅迫や恐喝の違いについて

ここからの内容は、独自研究がより多く含まれる内容となっていきます。
督促状や催告状、また「訴訟予告書」にて“差押え”を予告する等の行為が、脅迫・恐喝などの罪にならないのか、もう少し考察を深めてみましょう。
「脅迫罪」は刑法第222条に、「恐喝罪」は刑法第249条に、それぞれ次のように規定されています。

(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

(恐喝)
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。(未遂罪)

刑法 - 電子政府のe-Gov

たとえば、「訴訟予告書」で“給与や売掛金などを差押えする”と予告することは、「名誉または財産に対し害を加える旨を告知して」という、脅迫罪の条文に当てはまる…と考えられなくもありません。

ですが、脅迫や恐喝と取り立て・督促には、大きな違いがあります。それは、「債権者には、それを行使するだけの権利がある」ということです。ですので、その点を踏まえて考えると、よほど社会通念上、許されざる範囲を逸脱した督促でなければ、違法行為に問われないとも考えられます。

 

貸金業者、および貸金業の契約に基づく督促では、貸金業法による禁止行為も定められている

ここまでは、刑法に基づく「脅迫罪(同法第222条)」および、「恐喝罪(同法第249条)」について考察してきました。ですが、取り立てを受けている内容が“貸金業者からの借金返済”だった場合は、これらに加えて、さらに“貸金業法による取り立て規制”もあります

第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。

貸金業法 - 電子政府のe-Gov

この貸金業法第21条では、各号で「禁止される取り立て行為の様態」を規定しています。また、これらに加えて、貸金業界の自主規制も定められています。非常に細かい決まりがあるのですが、主な部分を一部ご紹介します。

  • 暴力的な態度をとること
  • 3人以上など、多人数で訪問すること
  • 不適当な時期(冠婚葬祭時や年末年始、債務者の入院時、罹災時など)に取り立て行為を行うこと
  • 親族または第三者に対して、取り立てを行うこと
  • 正当な理由なく、不適当な時間帯に督促を行うこと
  • 1日に4回以上の電話など、しつこい(反復継続した)督促を行うこと
  • 債務者が債務整理を弁護士や司法書士に依頼した後、債務者に対して取り立て行為を行うこと

貸金業者の取り立てには、このように様々な規制がされています。

逆に言えば、こうした法律や業界自主規制に対して違反していなければ、たとえば給与債権、売掛債権、敷金返還請求権などに対する差押えを“予告”すること自体も、違法ではない可能性が高くなると言えそうです。

ただし、万が一こうした規制に違反する督促を受けている場合は、すみやかに弁護士・司法書士に相談し、助けを求めたほうが良いでしょう。

督促の悩みを無料で相談できる弁護士・司法書士はこちら

 

-強制執行・差し押さえ

© 2024 【債務整理ジャーナル】借金が返せないときに役立つ債務整理情報サイト

目次へ