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この記事では、
「債務整理をすると財産が没収されるの?」
「車や家、スマホやペットはどうなるの?」
といった疑問にお答えしていきます。
債務整理は、借金などの返済や支払が困難になった時に、残債を減額・免除できる制度です。有名なのが「自己破産」ですが、そのほかに「任意整理」「個人再生」「特定調停」といった手続きもあります。
こうした手続きを取ると、「財産がすべて処分されてしまう」というイメージを、お持ちの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、債務整理をして残せる財産・残せない財産について、まとめていきます。
債務整理で財産を没収されてしまう2つのパターン
債務整理で財産を没収されたり、処分されてしまうのは、大きく分けると2つのパターンがあります。
:自己破産の管財事件になった場合(債務整理の手続きによる財産処分)
:住宅ローンや自動車ローンなどの返済中の場合(契約による差し押さえ・担保権の実行)
この2つは、結果としては「対象の財産を没収される」という事になりますが、その仕組みが異なります。
1:自己破産の管財事件により、財産が没収されるパターン
まず、債務整理の手続きが原因で、財産を没収されるパターンを見てみましょう。これは、自己破産の管財事件となった場合が当てはまります。
実は債務整理といっても、財産の没収や処分は、必ず行われるわけではありません。「自己破産の管財事件」となった場合のみに生じます。任意整理、特定調停、個人再生、そして自己破産でも「同時廃止」となった場合は、財産の処分はありません。
「財産の処分というデメリットが無いなら、借金を減らすメリットも小さいのでは?」
という疑問もありそうですね。
そこで簡単な比較表を作ってみました。
財産処分 | 返済の減額・免除 | |
任意整理 | なし | 遅延損害金と利息カット 返済計画の立て直し |
特定調停 | なし | 返済計画の立て直し |
個人再生 | なし | 総負債額を1/5~1/10に減額 返済計画の立て直し |
自己破産 (同時廃止) |
なし | すべての返済を全額免除 |
自己破産 (管財事件) |
あり | すべての返済を全額免除 |
このように、財産の処分がない手続きでも、しっかりと返済の減額・免除ができます。
特に大きいのが、自己破産の「同時廃止」ですね。これになると、すべての返済が免除され、おまけに財産の処分はありません。ただ、自己破産の同時廃止は、自分で選べるものではありません。「一定以上の財産が無い」状態で、自己破産を申し立てた場合に、自動的に選択される制度です。
この仕組みは少し複雑な部分もあるので、別の記事で詳しく解説します。
2:住宅ローンや自動車ローンの返済中の場合(担保権の実行・所有権留保特約)
債務整理の仕組みとしては、財産の処分は、「自己破産の管財事件」となった場合のみ生じます。ですが“別の仕組み”で、結果的に財産の没収が生じてしまうケースがあります。
主な代表例が、住宅ローンの「担保権の実行」と、自動車ローンの「所有権留保特約」です。
住宅ローン返済中に債務整理を行った場合、「担保権の実行」という仕組みにより、ローン返済中の家が差し押さえられてしまう恐れがあります。
これを回避するためには、次のような方法があります。
任意整理で、住宅ローンを整理対象から外す
《内部リンク予定:任意整理で家を残す方法》
個人再生の住宅資金特別条項で、住宅ローンを整理対象から外す
また、自動車ローンについても同様で、こちらは仕組み上は「所有権留保特約」に基づくものですが、やはり債務整理がキッカケで車を差し押さえられてしまう恐れがあります。
こちらについては、次の回避方法があり得るでしょう。
任意整理で、自動車ローンを整理対象から外す
《内部リンク予定:任意整理でローン返済中の車を手元に残す方法》
詳しくはそれぞれ、上記の関連記事で解説していきます。
スマホやペットはどうなるの?債務整理で没収されない?
:自己破産の管財事件になった場合
:住宅ローンや自動車ローンなどの返済中の場合
債務整理で財産を没収される可能性があるのは、この2つのパターンです。「何を没収・処分されるか」も、パターンによって異なります。
:自己破産の管財事件になった場合
⇒法令や裁判所の基準で定められた、一定以上の財産
:住宅ローンや自動車ローンなどの返済中の場合
⇒ローン返済中の家や車など
どちらの場合も、スマホやペットなどは没収・処分の対象にならないでしょう。
自己破産の管財事件となった場合は、「自由財産」または「自由財産の拡張」(破産法第34条3項および4項)により保護される
スマホやペットには担保権や所有権留保特約が基本的につかないので、処分されない
といった理由で、債務整理をしても、手元に残しておけると考えられます。
ただ、価値の高い血統書付きのペットや、希少な生き物などの場合、もしかしたら自己破産の管財事件でも守れないかもしれません。この点については、裁判官に自由財産の拡張を認めてもらえるかどうか…といった、弁護士の腕も問われるでしょう。